「まだ大丈夫」は、危険信号です!

認知症の初期は、症状があっても発見が遅れやすいものです。たとえば、これまで家事一切を引き受けていた母親の料理の味付けが変わったり、同じ洋服を着ることが多くなったりしても、歩行や会話ができると、ひいき目で判断しがちな家族は「まさか?」という疑いを打ち消し、認知症の初期を見逃してしまうのです。

とくに認知症初期の頃は、家族が十分な情報を持っていないので、介護を拒否する本人の強固な態度に戸惑い、そのまま放置してしまうこともあります。しかし、そのことが結果として、認知症の進行を進めてしまうので注意が必要です。

年をとるにつれて友達との交流が途絶え、もの忘れが多くなったY子さん(89歳、アルツハイマー型認知症、要介護1。独身の息子と同居)のケースをご紹介します。

ある日、Y子さんは家で転倒し、恥骨を骨折して入院。安静のために設けられた柵を乗り越えようとするのでベッドに拘束されました。病気を認識できないY子さんは大声で騒ぎ、しまいには看護師さんに怪我を負わせてしまう始末です。

翌日、退院を促されたものの、自宅で安静に寝ていることもできないため、四方八方を探して、結局、某精神病院に入院することになりました。するとアッという間に体調を崩して発熱し、ベッドで寝ている日々が続きました。

私が息子さんから相談を受けたとき、Y子さんは寝たきりの状態でしたが、認知症ケアの優れた病院へ転院してもらいました。口こ うくう腔ケアやリハビリを行ううち、発語ができ、歩くこともできるようになりました。やがて自宅へ戻ることができ、認知症ケアの優れたデイサービスへ通うこともできました。

このケースからもわかるように、老親の認知症について「もしや?」と思ったときから介護のプロに相談し、連携しておくことが大切です。介護生活の安心の備えにつながります。

正しい情報や知識を教えてもらえるだけでなく、将来起こり得るアクシデントを予想して適切なサービスを受けられる事業所や施設などを探しておくことができるからです。

また、認知症の本人にしても、一人ひとりの個性を引き出してくれる良いサービスと出会い、場に慣れ、人に慣れておくことも大切だと思います。

関連記事

メディカル講座
お知らせ
  1. 「まだ大丈夫」は、危険信号です!

  2. 認知症ケア――入浴を拒否する場合

  3. 認知症でも葬儀に出席できます

  4. 認知症?と思ったら始めたい準備

  5. 低年齢化も加わった介護問題

  1. 認知症介護に「いまどこ安心ウォッチ」GPS時計をお勧めしています。

  2. WEBサイトが新しくなりました。

PAGE TOP